「英検®︎3級に合格するためには英文法は必要なんですか?」
「英検®︎って単語を覚えれば解けるんじゃないの?」
「英検®︎ってそんなに文法問題ありませんよね?」
塾講師の私は、英検®︎を受験される学生から、これらの類の質問をよくされてきました。
たしかに英検®︎はどの級も、がっつりとした文法問題は多くありませんし、逆に単語の意味を知っていれば解ける問題もあります。
しかし、3級を受験される方には文法をきっちりとマスターしてほしいと思っております。
今回は、その理由を3つに分けてご紹介いたします。
ハイチュウ(=筆者)の経歴(ちょっと自慢)
旧帝国大学に現役合格。18歳にして学習塾で英語の集団授業の講師として、毎年100名以上の学生を指導。
実は大学での専門は英語ではなく数学だったこともあり、AIを実装した英語学習アプリの開発・運用を担当。「理系×指導実績あり」というポジションが私だけだったこともあり、1万語以上の単語データベースと5000問以上の文法問題をオリジナルで作成。おかげで今や、パッと単語や文法問題を見ただけで、「これは〇〇生レベルやな」「これは〇級に受ける人はできんとあかんな」とかが瞬時に判断できるようになってしまった。
理由①:まだ文法問題はある
英検®︎級が上位にいけばいくほど文法問題は減っていきますが、3級はまだ文法の問題が一定数登場します。

例題(過去問より)
A: Do you like ( ) pictures, Mr. Fox?
B: Yes, I do.
1 take
2 took
3 takes
4 taking
正解はもちろん・・・
4ですよね。英文にはすでに動詞の「like」があるので、「like 〜ing:〜することが好き」という形にしましょう。選択肢にはありませんが「to take」でも文法的にOKです。
文法問題である以上、この英文に出てくる単語の意味を全て知っていても、文法を理解していなければ100%解けない問題です。
逆にいうと、文法を理解しさえしていれば、単語の意味がわからなくても解ける問題とも言えます。
そして、この類の問題は「正解しないといけない問題(サービス問題)」なのか、「正解しなくても大丈夫な問題(満点阻止問題)」なのかどちらなのかというと、完全に前者になります。
もったいない失点を減らすためには、文法をきっちりと固める必要があるということですね。
理由②:ライティングの点数に大きく関わる
英検®︎3級からは、ライティングの試験がございます。
そして、このライティングの採点は4つの観点からなされると英検®︎公式ホームページに記載されており、観点4に『文法』の項目が存在しております。
これが、英検®︎で英文法を学習するべき理由の二つ目です。
ちなみに、『文法』は3級〜1級全ての級においてのライティングの採点の観点に含まれております。
もちろん、文法がよければ満点が取れるわけではありませんが、英作文の採点は一般的に減点法である以上、どんなにいい内容を書いていても文法ミスが多すぎて、減点が積み重なり持ち点がなくなる・・・ということも十分に考えられます。
特に英検®︎3級のライティングの試験は、
- Which do you like better, summer or winter? → I like ・・・ better. (比較級)
- What do you like the best? → I like ・・・ the best. (最上級)
のように、「必ずこう答えてね!」というような、『解答のフォーマット』が決まったお題の出し方をしてくることが多いです。
そのときに、『解答のフォーマット』の文法表現を正しく書けないと、かなり減点されてしまうでしょう。「かなり」減点される理由は、その部分が解答全体の中で見ても主となる部分(結論)であるためです。
英検®︎3級のライティングは語数が多くないため、逆にいうと一つの減点が命取りになります。
また、そもそも英検®︎はライティングで高得点を出して合格するのが王道の合格方法です。
以上を踏まえると、英文法を正しく運用できる力を身につけ、ライティングでそれを発揮する必要があるということですね。
理由③:準2級以降の級で全く手が出なくなる
個人的にはこれがいちばんの理由だと思っております。
塾講師の私の経験上から見ても、英検®︎は5〜3級まではよほどのことがない限りは合格する可能性が高いですが、準2級からは準備不足の人は何度受験しても不合格になってしまいます。
そしてそうなる人の最大の特徴の一つとして、「基礎が固まっていない」があります。
当然、「文法」も「基礎」に含まれます。
ですので、文法が不十分だと特に準2級以降は手も足も出なくなってしまいます。
そしてさらに悪いことに、英検®︎3級のレベルは「中学卒業レベル」で、準2級のレベルは「高校中級程度」とされています。
どういうことかと言いますと、3級から準2級にかけて「中学文法」から「高校文法」へと遷移されるのです。
これの何が悪いかと言いますと、『中学文法が不十分のまま3級に合格してしまった』人は、準2級の準備のための高校文法が全く頭に入ってこなくなるということになります。
ましてや、一度3級に合格してしまうと学校や塾でも中学文法に戻って復習する機会もあまりないでしょう。
極端な話、「3級に合格できればあとは何でもOK!準2級以上は受験しない!」という受験者であれば、私がその家庭教師だったとしても、文法は本当の最低限だけやり、単語とライティングで合格を目指します。
しかし、ゆくゆくは準2級以上の取得を目指す大半の受験者は、多少回り道(時間をかける)をしてでも中学文法を確実に習得することが、準2級の取得につまずくこともなくなり、長い目で見て近道になるはずです。
おさえるべき文法項目
「文法が大切なのはわかった!」
「じゃあ、具体的にどの文法項目をマスターすればいいの?」
という問いに、答えを示します。
まず、英検®︎3級のレベルは「中学卒業レベル」とされております。
ですので、簡単に言うと、「中学文法を全て」マスターしてほしいということになります。
その中でも、特に押さえてほしい項目を以下に示しますね。
- 接続詞(that節・従属接続詞 when, because, if)
- 比較級・最上級
- 受動態
- 後置修飾(分詞・関係代名詞)
- 構文(第2, 4, 5文型・there is構文・so-that構文)
詳しくは、こちらの記事で紹介しているので、ぜひ読んでみてください。
ただし、上の5つの項目をマスターすれば完璧というわけではないので、高校入試の過去問なども利用して、中学文法全項目を完成に仕上げてほしいと思います。
まとめ&塾講師の雑感
英文法の学習は、3級そのものの合格においても、その先の準2級以降の合格においても非常に大切であるということですね。
ですので、もし「まだ文法は最後までやっていないけれど、今の実力でも3級に合格できそう」という手応えがあっても、3級の範囲である中学文法を完成させてほしいと思います。
繰り返しになってしまいますが、準2級は、基礎が固まっていないと何度受験しても不合格になってしまいます。
そうならないために、3級の準備のうちから基礎を固め切ってほしいと思います。
たまに、「準2級のための英文法なら3級に受かってからでも遅くないの?」と聞かれますが、準2級はリスニングが1回放送になったりと、試験の難易度や形式が変わる部分が多いので、文法になかなか時間と労力を注ぎ込めません。
比較的に余裕のある現時点で、マスターしてほしいと思います。
中学文法を確実に仕上げ、3級も準2級以外も着実に合格できるようにしましょう。
また、おさえるべき文法項目を詳しくご紹介している、こちらの記事もあわせて読んでみてください。
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